どうもこんばんは、スマブラ DX 技術部の Kounotori です。
前に開発したスマブラDXの計算「DXCalc(英語版)」の紹介と、簡単な使い方・項目の意味などの簡単な解説をしようと思います。
DXCalc とは?
対戦攻略指南のマニア向け情報に載せている、2014年頃に作ったツール「SSBM Calculator(SSBMC)」の上位互換になります。
是非、調べプレイを効率化して考察を早く進めて、その分操作練習・対人練習時間を確保してもらえたら作り甲斐があります。
攻撃判定のパラメータを見る
SSBMC は、攻撃判定のパラメータを自分で一つ一つ入れていかないといけませんでしたが、DXCalc はキャラを選択するとそのキャラのほぼ全ての攻撃の選択肢がでてきて、攻撃を選択すると、そのキャラのスマブラDX内部の攻撃判定の設定ファイルからそのままとってきた 16 進数データ(※)を我々でも分かるように変換し、技のパラメータを表示することができます。
- %: ダメージ
- ベクトル: ふっとぶ角度。ベクトル
- R付加: リアクション付加値
- R影響: リアクション影響値
- R固定: リアクション固定値
- 属性: 属性
- 縦削り: シールド削り値。ダメージ相応分に加えてこの分だけ更にシールドの耐久値を削る
- 地上ヒット: 地上判定の相手に当たるか。trueなら当たる、falseなら当たらない
- 空中ヒット: 空中判定の相手に当たるか
- Clang: 相殺。値が何を示すかは未検証
日本語訳がそもそもなんぞやという方はこちら↓(キャラ別攻略にも置いています)。
モーションデータ
IASA
IASA (Interuptible As Soon As)
そのモーションが、更なる行動でキャンセルできるようになるフレームです。
(例)全体:30, IASA:25
25F目以降(25F目のアニメーションを含む)は、ジャンプや攻撃などの行動でキャンセル可能です。
その行動中に、「向き反転」入力をしつづけていると、1-24Fは通常通り、その次のフレームで、残りの25-30Fのモーションをキャンセルして、向き反転が開始されます。
尚シールドでは、IASAキャンセルができるもの(大半の行動)と、できないもの(恐らく強攻撃)がある。できないものであっても、「向き反転入力+シールド入力」をしておけば、IASAキャンセルが向き反転で起こり、その次のフレームでシールドを出すことが可能です。
もちろん、そもそもIASAがなく、全てのモーションが終わらないと別の行動をとれないものも多くあります。
着地隙
着地隙
空中でその行動を行った場合、まだモーション中であるときに着地したときの隙です。
空中攻撃では、「18 / 9」の様に2つ書いているが、右の数字は着地キャンセルした場合の隙を表しています。
AC
AutoCancel
空中攻撃中に着地すると「空中攻撃着地」のモーションになるのが普通です。
しかし、そのモーションの始め・終わりのあるタイミングで着地した場合、「通常着地」となります。
これをオートキャンセルと呼び、これが出来るタイミングを表します。
(例)全体:39 / AutoCancel:≦5, 32≦
全体モーションは39Fだが、5F以前(=1~5F目)か、32以降(=32~39F目)に着地すると、その空中攻撃はオートキャンセルされ、着地モーションは「通常着地」とりまする。
飛び道具技などにおける「AutoCancel: Yes/No」について
尚、飛び道具の必殺技の場合にも記載され、その時は「Yes/No」となっています。
- Yes:空中で出したその飛び道具技のモーションは、着地すると「通常着地」でキャンセルされます。
- No:空中で出したその飛び道具技のモーションは、着地してもキャンセルされず、モーションがそのまま終わるまで続きます。
攻撃判定データ
「ヒット~サイズ」まで、全ての項目の数値が同じ場合は、その「ヒット」中に複数の攻撃判定があってもデータは1行にまとめます。
ヒット
ヒット
攻撃判定などの出ているFを表示します。
- ヒット:
攻撃判定を表します。
判定表示では赤色です。 - 反射:
飛び道具の反射判定、もしくはカウンター技のカウンター判定を表します。
判定表示では水色です。 - 反応:
その判定に相手が触れると派生行動が発生する、反応判定(C.ファルコンの横Bなど)を表します。
判定表示では灰色です。この判定と食らい判定が重なっている部分は、飛び道具に対してすり抜け無敵になっていると考えられます。ただし、「反応」自体の持続は表示よりも短いです。
R付加値
R付加値(リアクション付加値)
ふっとび値の計算時、最後にこの値を加算して、ふっとび値を調節することができます。
つまり、この値が設定されていると、低い蓄積%でも必ず一定以上のふっとび値になります。
海外ではBase Knockbackと呼ばれます。
R影響値
R影響値(リアクション影響値)
ふっとびの大きさを、百分率で大きくしたり小さくしたりすることができます。
通常は100に設定されていて、100より大きいと蓄積%が高くなるほど不相応に大きくふっとぶようになり、100より小さいと蓄積%が高くなってもふっとびはあまり大きくなりません。
海外ではKnockback Growthと呼ばれます。
R固定値
R固定値(リアクション固定値)
その攻撃がヒットした時、かならず同じふっとび力にしたい場合はこの値を設定すると、一定のふっとび力が得られます。ただし、相手の重さの影響は受けます。
この値が設定されている場合、ふっとび値の計算式は別のものになります。
海外ではWeight Dependent Set Knockbackと呼ばれます。
ベクトル
ベクトル
その技をヒットさせた相手がどの角度で飛んで行くか、その攻撃判定のベクトルを表します。
攻撃側が左にいて、右の相手に対してその攻撃をしかけた場合を想定しており、真横(右)を0°としています。
尚、180°を超えるベクトルが設定されている場合は、一見分かりづらいため負の角度に直したものを表記しています。
例えば、「ベクトル: -70」は、290°のベクトルを表しており、簡潔に言えばやや右寄りの下に飛ぶことを示します。
361°のベクトルについて
海外勢によると通称「桜井アングル」。
以下の特徴をもつ、多くの技に設定されているベクトルです。
- 空中ヒットでは常に45°の扱い
- 地上ヒットでは、ふっとび値が非常に低い時には0°だが、ふっとび値が高くなると44°の扱いになる
(ファルコのブラスターが「非常に低い時に0°」に該当すると考えられます。ふっとび率を上げると斜め上に飛ぶのに、通常の対戦ではブラスターに対してしゃがみ仕込みができない(=浮いていない=ベクトルに上成分がない)がため。)
要するに、大体45°であることを表します。
盾削
盾削り値
通常、攻撃を相手にガードさせた際のシールドの減少値は攻撃力(%)の大きさによって決まりますが、技によっては減少値がそれよりも大きい場合があります。
その攻撃判定に「盾削り値」が設定されていると、その分だけ通常よりも大きくシールドを削ぐことができます。
シールドの最大HPなどは「シールド」を参照してください。
対空/対地
対空 / 対地
「空中にいる相手にのみ当たる」、「地上にいる相手にのみ当たる」という攻撃判定の区別です。
ほとんどの技にはどちらにもあたるようになっているので、どちらにも○がついています。
×になっていると、その場所のいる対象には当たらない攻撃判定であることを表します。
攻撃判定を表示する
また、「キャラ別攻略」ページでみれる攻撃判定の動画も「Hitbox Slider」にチェックを入れれば見ることができます。
こちらはキャラ別攻略の画像ファイルを高速で切り替えているものと違い、動画ファイルなので格段に軽いです。
動画プレイヤーは、アトーさんが開発した動画をコマ送りしたり、再生速度を変えることのできるプログラムを用いています。1F ずつ動かしたり、ゆっくり再生したりすることもできます。
攻撃判定データを Store する(格納したデータ)
そして、計算したいデータにはチェックボックスボタンをクリックして「Store(格納)」することができます。
格納されたデータは、次項の「計算」を行う対象となります。
画面上部に「>」のマークがあるので、クリック(またはページの一番上までスクロールした状態で「→」キーを押す)と「格納したデータ」画面に遷移します。
格納したデータ の表の下にある「ワンパターン相殺履歴」は、ワンパターン相殺の為の攻撃ヒット履歴を表します。左ほど新しく、右ほど古くなります。
その下には、ではその履歴のときにダメージはどれくらいの割合になってしまうのかを百分率で表示しています。
有利フレーム
「ワンパターン相殺履歴」の状態を反映した威力で、ガードさせた時の有利フレームを計算することができます。
「ヒットフレーム」は、その攻撃判定の何F目の攻撃判定をガードさせたかを選択して入力します。
IASA、着地(着地キャンセル・オートキャンセル)のチェックボックスは、それぞれチェックしたキャンセルをした場合の有利フレームで計算します。
計算する
攻撃を「食らう」キャラを選択することで各種計算を行います。
現在の蓄積ダメージや、しゃがんでいる・スマッシュホールドをしている状態であればそれにチェックを入れることで、その状態によるふっとび値の変化も計算結果に適応されます。
また、スティックの入力値を入力することで、最終的にどの角度でふっとんだのかも計算結果に反映されます。
色んな計算結果が出ていますが、その数字だけでは特に情報としては活きないものもあるので、注目すべき計算結果項目だけ説明します。
- ヒットストップ: ヒットストップの長さ(攻撃側)
- 対象ヒットストップ: ヒットストップの長さ(食らう側。電気属性だったりしゃがんでいたりすると、攻撃側と違う長さになることがあります)
- ヒット時有利フレーム: ヒットさせた場合の、攻撃側のモーション終了までのフレームと、攻撃を食らった側の食らい硬直の差を表示します。攻撃側の隙は2ページ目の「ヒットフレーム」の入力を踏まえたものです
- 実ベクトル: スティック入力値に応じたベクトル変更が加わった結果の実際のふっとび角度を表します
- 初期 Y ふっとび速度: ベクトル変更後のふっとび1F目の縦のふっとび速度を表します(3以下であれば、真下へのオートヒットストップずらしでふっとび1F目で接地できます)
- 床受け身?: 初期 Y ふっとび速度の説明の通り、ふっとび1F目で接地可能なら true と表示します
- 撃墜?: 星宮さんの計算式ツールを取り入れて、上で撃墜となるかを表します。表の上にステージ・ワザを食らう位置のY座標の入力項目がありますが、ここの入力の影響を受けます
- :
- ふっとび値 32 ヒット前%: 「ふっとび値」が 32 以上になるヒット前の蓄積ダメージ。ふっとび値 32 未満はふっとび角度が361度に設定されているワザを地上で受けた時、0度扱いになることを表します。361度ベクトルについて詳しい人用
- ふっとび値 80 ヒット前%: 「ふっとび値」が 80 以上になるヒット前の蓄積ダメージ。ふっとび値 80 以上とはダウンすることを表します。何 % からダウンするのかを調べるのに、もうわざわざトレーニングモードで 1 % ずつ変えながら当てていく必要はありません!
ふっとび値グラフ
「攻撃判定パラメータ・各項目名の意味」を読んでくださった方は分かるかと思いますが、攻撃判定のふっとびに関わるパラメータは、ダメージだけではなく、3 つのリアクション値にも大きな影響を受けます。
その為、全く同じダメージでも、蓄積ダメージ増加によるふっとびの増加の仕方が異なるのですが、それをグラフで表し視覚的に分かりやすく確認することができます。
ダメージが大小の 2 つの攻撃があったとき、リアクション値によっては、「ダメージ小の方が、特定の%の範囲ではふっとぶ」ということもあるので、それが一目瞭然です。
※既知のバグ
以下の場合には正しく計算できません。
- ふっとび角度が水平以下のワザをヒットさせたとき、食らった側がベクトル変更をした場合、XYふっとび速度の計算が合わない
記事の内容に関して質問や感想があればどうぞ